【2026年版】SaaSでマッチングサイトを構築する方法。月額費用・手数料・失敗例を解説

マッチングサイトを早く、できるだけ安く始めたいと考えたとき、候補に挙がるのがSaaSです。
会員登録、プロフィール、サービス掲載、検索、申し込み、メッセージ、決済など、必要な機能があらかじめ用意されており、ゼロから開発する必要がありません。
初期費用を抑えやすく、サーバーの管理やシステム更新を提供会社へ任せられるため、標準機能だけで事業が成立するなら、SaaSは非常に合理的な選択です。
ただし、月額8万円のSaaSを5年間利用すれば、利用料だけで480万円になります。決済手数料、オプション、外部サービス、追加カスタマイズの費用は別です。
SaaSが安いかどうかは、最初の料金ではなく、事業が続いた期間と総額で決まります。
本記事では、マッチングサイトをSaaSで構築する場合の費用、向いているサービス、契約前に確認すべき項目、よくある失敗を解説します。
最初に結論|SaaSは標準機能だけで事業が成立する場合に向いている
マッチングサイト構築SaaSが向いているのは、提供されている標準機能だけで、最初から最後まで取引を成立させられる場合です。
たとえば、次のようなサービスです。
- 会員登録、掲載、検索、問い合わせが中心のサービス
- 複雑な審査や独自の料金計算を必要としないサービス
- まず小さく始めて、需要があるか確かめたい事業
- システムを自社資産として保有する必要がない事業
- 月額料金や取引手数料を十分に回収できる収益モデル
反対に、独自の取引フロー、会員ごとに異なる権限、複雑な料金計算、基幹システムとの連携などがサービスの中心なら、SaaSの標準機能へ事業を合わせることになります。
最初は小さな妥協でも、積み重なると競合との違いがなくなる可能性があります。
標準機能で最初の取引から取引完了まで成立し、3年間の月額費用と従量料金を支払っても利益が残るなら、SaaSは有力な選択肢です。独自機能がサービスの価値そのものである場合は、契約前にパッケージやスクラッチ開発とも比較してください。
マッチングサイト構築SaaSとは
SaaSとは、提供会社が用意したシステムを、インターネット経由で利用するサービスです。
自社でサーバーを用意してシステムを設置するのではなく、提供会社が管理する環境へログインして使用します。
マッチングサイト向けのSaaSには、主に次の機能が用意されています。
- 会員登録・ログイン
- プロフィール登録
- 商品・サービス・案件の掲載
- カテゴリや条件による検索
- 申し込み・問い合わせ
- メッセージ
- 予約
- オンライン決済
- レビュー・評価
- 運営者用の管理画面
契約後にロゴ、画像、文章、カテゴリ、料金などを設定すれば、比較的短期間でサービスを公開できます。
サーバー管理、セキュリティ更新、基本機能の保守を提供会社へ任せられる点も強みです。
一方で、利用できる機能や変更範囲は提供会社が決めています。自社がソースコードを自由に変更できるとは限りません。
SaaS・パッケージ・スクラッチ開発の違い
SaaSとパッケージは、どちらも完成済みの機能を利用するため混同されがちです。
大きな違いは、システムを誰の環境で動かし、どこまで自社で保有・変更できるかです。
| 比較項目 | SaaS | パッケージ | スクラッチ開発 |
|---|---|---|---|
| 利用方法 | 提供会社のシステムを月額で利用 | 自社環境などへシステムを導入 | 必要なシステムを一から開発 |
| 初期費用 | 低い傾向 | 中程度 | 高い |
| 月額費用 | 利用中は継続して発生 | サーバー・保守・外部サービス | サーバー・保守・開発体制 |
| カスタマイズ | 標準設定と有料オプションが中心 | 製品の構造内で追加開発しやすい | 自由に設計できる |
| ソースコード | 通常は提供会社が管理 | 契約内容による | 契約内容に応じて納品可能 |
| データ移行 | 出力範囲と形式に制限がある場合がある | データベースへ直接対応しやすい | 仕様に合わせて設計できる |
| 向いている事業 | 標準機能で成立する事業 | 共通機能+一部独自機能 | 基本構造から独自の事業 |
SaaSは借りて使う、パッケージは「完成済みの土台を導入する」、スクラッチ開発は「一から作る」と考えると分かりやすいでしょう。
マッチングサイト構築SaaSの費用
SaaSの料金を見るときは、月額利用料だけを見てはいけません。
実際には、次の費用が発生します。
| 費用項目 | 費用の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 無料~100万円程度 | 初期設定、デザイン調整、導入支援、データ登録など |
| 月額利用料 | 月2万円~10万円超 | システム、サーバー、基本保守など |
| 決済手数料 | 決済金額の3%台~ | クレジットカード決済など |
| SaaS側の取引手数料 | 無料~売上の数% | 決済手数料とは別に設定される場合がある |
| 有料オプション | 月数千円~数万円 | 独自ドメイン、容量、管理者追加、API、通知など |
| カスタマイズ | 数万円~数百万円 | 標準機能にない画面や処理の追加 |
| 移行費用 | 50万円~数百万円以上 | 別システムの開発、データ移行、動作確認など |
金額には大きな幅があります。
自社で初期設定を行うSaaSであれば、初期費用をほとんどかけずに開始できます。一方、要件整理、デザイン、データ登録、操作説明、運用支援まで依頼すると、初期費用が発生します。
また、月額料金が安くても、必要な機能が上位プランにしか含まれないことがあります。
公開されているSaaSの料金例
2026年6月時点で公開されている料金を見ると、マッチングサイト向けSaaSの価格帯には幅があります。
| サービス例 | 公開料金 | 料金上の注意点 |
|---|---|---|
| mekuma | 月額80,000円・86,000円(税込) | 6か月払いの場合。決済手数料3.6%、カスタマイズは有償 |
| Sharetribe | 年払いで月額99ドル・199ドル・299ドル | プランによって独自ドメイン、API、コード変更範囲が異なる。追加取引料金などは別 |
同じ「マッチングサイト構築SaaS」でも、月額料金に含まれる機能は同じではありません。
安いプランでは独自ドメインが使えない、外部連携ができない、コードを変更できないといった差があります。
料金を比較するときは、月額の安さではなく、必要な機能を使えるプラン同士で比べてください。
※料金・プランは変更される可能性があります。契約前に各サービスの公式情報をご確認ください。
月額料金を3年間・5年間で計算する
月額料金は、一か月だけを見ると安く感じます。
しかし、サービスが続く限り支払いも続くことになります。
| 月額料金 | 1年間 | 3年間 | 5年間 |
|---|---|---|---|
| 月額3万円 | 36万円 | 108万円 | 180万円 |
| 月額5万円 | 60万円 | 180万円 | 300万円 |
| 月額8万円 | 96万円 | 288万円 | 480万円 |
| 月額10万円 | 120万円 | 360万円 | 600万円 |
| 月額20万円 | 240万円 | 720万円 | 1,200万円 |
これは月額利用料だけの計算です。
初期費用、決済手数料、取引手数料、オプション、追加カスタマイズ、外部サービスは含んでいません。
初期費用を含めた総額例
次は、料金の異なる3つのSaaSを利用した場合の単純な計算例です。
| モデル | 初期費用 | 月額料金 | 3年間の総額 | 5年間の総額 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模プラン | 20万円 | 5万円 | 200万円 | 320万円 |
| 標準プラン | 50万円 | 10万円 | 410万円 | 650万円 |
| 上位プラン | 100万円 | 20万円 | 820万円 | 1,300万円 |
標準プランでも、5年間利用すれば650万円です。
「初期費用50万円で始められるサービス」と「総額650万円のサービス」では、経営上の見え方が変わります。
取引手数料は売上が増えるほど大きくなる
SaaSによっては、月額料金とは別に、取引額に応じた手数料がかかります。
たとえば、SaaS側の手数料が売上の1%で、月間流通額が500万円なら、毎月5万円です。
| 月間流通額 | SaaS側の手数料 | 毎月の支払い | 3年間 | 5年間 |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 1% | 5万円 | 180万円 | 300万円 |
| 1,000万円 | 1% | 10万円 | 360万円 | 600万円 |
| 1,000万円 | 2% | 20万円 | 720万円 | 1,200万円 |
このほかに、クレジットカード会社などへ支払う決済手数料が発生することもあります。
売上が伸びれば利用料を払えるようになる一方、成功するほど支払いも増える料金設計があります。
月額料金だけでなく、売上100万円、500万円、1,000万円になった場合の支払い額を計算してから契約してください。
SaaSでの構築が向いているマッチングサイト
SaaSを使うこと自体が悪いわけではありません。
むしろ、次の条件に当てはまるなら、一から開発するよりSaaSの方が合理的です。
標準的な取引の流れで事業が成立する
会員が登録し、サービスや案件を掲載し、利用者が検索して申し込む。
このような一般的な取引の流れであれば、SaaSの標準機能を活用しやすくなります。
独自の審査、複雑な料金計算、特殊な契約処理がなければ、わざわざ一から開発する必要はありません。
まず需要があるか確かめたい
まだ顧客が集まるか分からない段階で、500万円、1,000万円をかけてシステムを作る必要はありません。
SaaSを使って早く公開し、実際に会員が集まるか、取引が発生するかを確認する方法があります。
ただし、検証に使う場合は、次の段階へ進む条件も先に決めておきます。
- 会員が何人になったら本格開発を検討するか
- 月間売上がいくらになったら移行するか
- SaaSへの支払いが月いくらを超えたら見直すか
- どの機能が必要になったら別システムへ移るか
SaaSで始めることではなく、出口を決めずに使い続けることが問題です。
短期間・期間限定で利用する
イベント、実証実験、自治体の期間限定事業など、利用期間が決まっているサービスにもSaaSは向いています。
半年や1年間で終了するなら、システムを買い切って保有する必要性は低くなります。
利用終了後にデータをどの形式で出力できるかだけは、事前に確認してください。
毎月の固定費を回収できる料金設計がある
月額10万円でも、毎月100万円の粗利益を安定して出せるなら、経営上は大きな問題にならないかもしれません。
反対に、売上が20万円しかない事業で、システムへ毎月10万円を払い続けるのは困難です。
SaaSを選ぶ前に、必要な会員数や取引数を計算します。
たとえば、1件あたりの粗利益が5,000円で、SaaS利用料が月10万円なら、システム利用料だけを回収するために毎月20件の取引が必要です。
広告費、人件費、問い合わせ対応費は別にかかります。
SaaSでの構築が向いていないマッチングサイト
次のようなサービスでは、SaaSの安さより、機能制限による損失の方が大きくなる可能性があります。
独自の取引フローがサービスの強みになっている
たとえば、次のような取引です。
- 申し込み前に複数段階の審査を行う
- 条件によって運営手数料を変更する
- 複数の担当者による承認が必要
- 取引の途中で契約内容や金額が変わる
- 成果物の承認後に決済を確定する
- 業界独自の書類や資格確認が必要
これらが競合との差別化になるなら、標準機能へ無理に合わせるべきではありません。
会員ごとの権限が複雑
一般会員、法人会員、担当者、管理者、審査担当者、代理店など、会員の種類が増えるほど権限設計は複雑になります。
誰が何を閲覧できるのか、誰がどの情報を変更できるのか、どの段階で通知を送るのか。
SaaSの標準権限では対応できない場合、運営者が手作業で補うことになります。
基幹システムや社内システムとの連携が必要
顧客管理、在庫管理、会計、契約管理、社内データベースなどとの連携が必要な場合は、APIの有無と接続範囲を確認してください。
「API連携可能」と書かれていても、必要なデータを取得・更新できるとは限りません。
APIの利用が上位プラン限定であることや、呼び出し回数に制限があることもあります。
システムとデータを自社資産として持ちたい
将来的に事業売却を考えている場合、システムの所有状況は重要です。
SaaSを利用している事業でも売却は可能ですが、システム自体を自社資産として譲渡できるとは限りません。
買い手は、次の点を確認します。
- SaaS契約を引き継げるか
- 会員データを移管できるか
- サービス停止時に運営を継続できるか
- 独自機能の権利を誰が持っているか
- 料金改定後も採算が合うか
SaaSでマッチングサイトを構築して失敗するケース
SaaSで失敗する会社の多くは、SaaSの品質が低かったわけではありません。
安く早く始められるという長所だけを見て、自社の事業に合わない使い方をしています。
標準機能に事業を合わせ、独自性が消える
SaaSを選ぶと、用意された画面と機能の範囲内でサービスを作ります。
最初は「これだけそろっていれば十分」と感じます。
ところが、具体的な運用を考えると、少しずつ違いが出てきます。
本当は申し込み前に審査したい。取引条件によって手数料を変えたい。特定の会員だけに案件を見せたい。取引完了前に運営者の確認を入れたい。
しかし、SaaSでは変更できません。
そこで、事業の方をSaaSに合わせます。
一つひとつの妥協は小さくても、積み重なると、最初に考えていたサービスではなくなります。
初期費用を抑えた代わりに、ユーザーが選ぶ理由まで削ってはいけません。
「カスタマイズ可能」の意味を勘違いする
SaaSの案内に「カスタマイズ可能」と書かれていても、何でも変更できるとは限りません。
会社によって、カスタマイズの意味は異なります。
- ロゴや色を変更できる
- 表示項目を追加できる
- 文章やメール内容を変更できる
- 有料オプションで既存機能を追加できる
- 個別開発によって独自機能を作れる
ロゴと色を変えられるだけでも「カスタマイズ可能」と表現できます。
契約前に、自社が変更したい処理を具体的に伝え、対応可否と金額を書面で確認してください。
利用者が増えた後に料金が経営を圧迫する
SaaSの料金は、利用開始時の最小プランだけで判断されがちです。
実際には、会員、管理者、取引、データ容量、メール、APIなどが増えると、上位プランや従量料金が必要になることがあります。
事業が伸びて売上が増えても、SaaSへ支払う金額も増えます。
広告費、カスタマーサポート、人件費、返金対応などを差し引くと、売上は増えたのに利益が残らない状態になることもあります。
出力できるデータが足りず、移行できない
「データをCSVで出力できます」と説明されても、それだけで安心してはいけません。
会員一覧だけを出力できても、サービスを移行できるとは限らないからです。
最低でも、次のデータを確認します。
- 会員情報
- プロフィール項目
- 商品・サービス・案件
- カテゴリ
- 画像・添付ファイル
- メッセージ履歴
- 予約情報
- 取引履歴
- 決済・返金履歴
- レビュー・評価
- 会員と取引を結び付けるID
データを出力できても、項目同士の関係が分からなければ、新システムへ正しく取り込めません。
可能であれば、契約前にサンプルデータを出力してもらってください。
解約条件と最低利用期間を確認していない
サービスを停止したいと思っても、すぐに解約できるとは限りません。
- 最低利用期間がある
- 年払いの返金がない
- 解約申請の期限が決まっている
- 解約後すぐにデータへアクセスできなくなる
- データ保持に別料金が必要
売上がない状態で月額料金だけが続くと、撤退判断も遅れます。
開始条件だけでなく、終了条件まで確認することが必要です。
提供会社の値上げやサービス終了を想定していない
SaaSの料金や仕様は、提供会社が決めます。
原価上昇、為替、機能追加、料金体系の変更などによって、既存ユーザーも値上げの対象になることがあります。
また、利用しているプランやサービス自体が終了する可能性もゼロではありません。
自社でシステムを保有していない以上、提供会社の判断による影響は避けられません。
価格改定時に別サービスへ移れるか、データを持ち出せるか、代替手段があるかを考えておく必要があります。
SaaSは失敗しても成功しても問題が起きることがある
少し厳しい言い方ですが、出口を考えずにSaaSを選ぶと、失敗したときだけでなく、成功したときにも問題が起きます。
事業が失敗した場合
売上が伸びなければ、月額料金が負担になります。
解約すれば支払いは止められますが、通常はSaaSそのものを自社で継続利用できません。
それまでに支払った利用料は、システムという資産にはならないことが一般的です。
ただし、小さな費用で需要を検証できたなら、SaaSを使ったこと自体は失敗ではありません。
問題は、検証期間と撤退条件を決めないまま、売上のない状態で利用料を払い続けることです。
事業が成功した場合
成功すると、会員数、取引数、画像、メッセージ、管理者が増えます。
上位プランや従量料金によって毎月の支払いが増え、独自機能も必要になります。
そこで別システムへ移ろうとしても、今使っている機能をもう一度作らなければなりません。
会員や取引データを移し、旧システムと新システムを並行稼働し、利用者へ切り替えを案内します。
これは、新しい価値を作るための開発ではありません。
今ある状態を再現するための費用です。
SaaSから別システムへ移行するといくらかかるのか
移行費用は、会員数だけで決まりません。
機能数、データ量、画像、メッセージ、決済、予約、外部連携によって大きく変わります。
| 移行項目 | 費用例 |
|---|---|
| 新システムの構築 | 300万円~1,000万円以上 |
| データ調査・変換・移行 | 50万円~300万円以上 |
| 画像・添付ファイルの移行 | 10万円~100万円以上 |
| 並行稼働・切り替えテスト | 30万円~100万円以上 |
| 利用者への案内・サポート | 運用体制により変動 |
次は、SaaSで2年間運用した後に、別システムへ移行した場合の計算例です。
| 費用 | 金額例 |
|---|---|
| 初期設定 | 30万円 |
| 月額10万円×24か月 | 240万円 |
| 有料カスタマイズ | 80万円 |
| 新システムの構築 | 500万円 |
| データ移行 | 100万円 |
| 並行稼働・テスト | 50万円 |
| 合計 | 1,000万円 |
これはあくまで計算例ですが、最初に30万円で始めたサービスでも、移行まで含めると総額が1,000万円になることがあります。
SaaSで始めるなら、「いつまで使うか」ではなく、どの状態になったら移行するかを決めてください。
SaaSと買い切り型は何年で総額が逆転するのか
SaaSとパッケージのどちらが安いかは、利用期間によって変わります。
次の条件で比較します。
| 構築方法 | 初期費用 | 月額費用 |
|---|---|---|
| SaaS | 30万円 | 10万円 |
| 買い切り型パッケージ | 250万円 | 3万円 |
この場合、開始時はSaaSの方が220万円安くなります。
一方、毎月の差額は7万円です。
220万円を7万円で割ると、約31.4か月です。
つまり、単純計算では約2年8か月で総額が逆転します。
| 利用期間 | SaaS | 買い切り型 |
|---|---|---|
| 1年間 | 150万円 | 286万円 |
| 3年間 | 390万円 | 358万円 |
| 5年間 | 630万円 | 430万円 |
短期の検証ならSaaSの方が安く、本格運用を長期間続けるなら買い切り型が安くなる可能性があります。
ただし、実際にはカスタマイズ、保守、サーバー、取引手数料なども異なります。
この表だけで決めるのではなく、自社の条件を入れて計算してください。
SaaSを契約する前に確認すべき10項目
営業資料やデモ画面だけでは、公開後に必要な費用と制限までは分かりません。
契約前に、最低でも次の項目を確認してください。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 1.標準機能 | 最初の取引から完了まで標準機能だけで成立するか |
| 2.カスタマイズ | 設定変更なのか、個別開発まで対応できるのか |
| 3.月額料金 | 必要な機能を含むプランはいくらか |
| 4.従量料金 | 会員、取引、売上、容量、メール、APIで増える料金はあるか |
| 5.決済手数料 | 決済会社の手数料とSaaS側の手数料を分けて確認する |
| 6.料金改定 | 値上げ時に既存契約へどう適用されるか |
| 7.データ出力 | どのデータを、どの形式で出力できるか |
| 8.解約条件 | 最低利用期間、申請期限、返金、解約後のデータ保持 |
| 9.サービス終了 | 終了時の告知期間とデータ提供方法 |
| 10.移行方法 | API、CSV、画像、添付ファイル、IDの対応状況 |
特に重要なのは、データ出力の範囲です。
「出力できますか」と聞くだけではなく、実際に出力される項目一覧とサンプルを確認してください。
SaaSで失敗しないための進め方
SaaSを安全に使うには、契約前に出口まで設計します。
1.標準機能で取引を再現する
デモ画面を見るだけではなく、実際の取引を最初から最後まで再現します。
会員登録、審査、掲載、検索、申し込み、決済、キャンセル、返金、評価まで確認してください。
2.3年間・5年間の総額を出す
月額料金だけでなく、次の金額を加えます。
- 初期費用
- 月額利用料
- 上位プラン
- 決済手数料
- 取引手数料
- 外部サービス
- 有料オプション
- 追加カスタマイズ
3.撤退条件を決める
「売上が増えたら続ける」では判断できません。
- 公開から6か月で会員100人未満なら見直す
- 月間取引が10件未満なら機能追加を止める
- 月額費用を6か月連続で回収できなければ撤退する
このように、数字で撤退条件を決める必要があります。
4.移行条件を決める
撤退条件だけでなく、成功した場合の移行条件も必要です。
- SaaSへの支払いが月20万円を超えたら比較する
- 必要な独自機能が3つ以上になったら再検討する
- 手作業の運営が月100時間を超えたらシステム化する
- 移行費用を2年以内に回収できるなら移行する
5.最初から移行用のデータを保存する
SaaSから出力できないデータがあるなら、自社側でも記録を残します。
ただし、個人情報の二重管理や安全性には注意が必要です。
どの情報を自社側で保管できるか、利用規約と個人情報保護方針も確認してください。
SaaSよりパッケージが向いているケース
次の条件に当てはまる場合は、SaaSだけでなく、買い切り型のパッケージも比較してください。
- 3年以上の本格運用を考えている
- 独自の検索条件や審査方法がある
- 手数料や料金計算を細かく変更したい
- 自社サーバーやクラウド環境で運用したい
- 会員・取引データを自社で管理したい
- 事業売却時にシステムも資産として扱いたい
- 利用者や売上が増えるほどSaaS料金が上がる
パッケージは初期費用が高く見えます。
しかし、標準的な会員登録、掲載、検索、申し込み、メッセージ、管理画面を再利用し、独自部分だけを追加できれば、スクラッチ開発より費用を抑えられます。
一方、標準機能をほとんど使わず、全体を変更するならパッケージの利点はなくなります。
SaaS、パッケージ、スクラッチのどれがよいかは、事業内容と利用期間によって変わります。
マッチングサイト構築SaaSに関するよくある質問
SaaSでマッチングサイトは構築できますか?
はい。会員登録、掲載、検索、申し込み、メッセージ、決済などの標準機能を利用し、比較的短期間で構築できます。
ただし、対応できる取引方法やカスタマイズ範囲はサービスごとに異なります。
SaaSの月額費用はいくらですか?
公開されているサービスでは、月額数万円から10万円前後のプランが見られます。
独自機能、API、容量、管理者数、取引量によって上位プランや追加料金が必要になることがあります。
月額料金以外に何がかかりますか?
初期設定費、決済手数料、取引手数料、有料オプション、外部サービス、カスタマイズ費用などがかかる場合があります。
必要な機能を含めた3年間・5年間の総額で比較してください。
SaaSは自由にカスタマイズできますか?
ロゴ、色、文章、項目などは変更できることが多いですが、取引処理やデータ構造まで変更できるとは限りません。
「カスタマイズ可能」という表現だけで判断せず、変更したい内容を具体的に確認してください。
解約すればデータをすべて受け取れますか?
サービスによって異なります。
会員や商品情報は出力できても、画像、メッセージ、取引履歴、決済情報、各データの関連IDを出力できないことがあります。
SaaSとASPの違いは何ですか?
現在は、インターネット経由でシステムを利用する月額型サービスという意味で、近い使われ方をしています。
サービスによって機能、契約、データ管理、カスタマイズ範囲が異なるため、名称より契約内容を確認することが重要です。
SaaSからパッケージへ移行できますか?
データを必要な形式で出力できれば移行できます。
ただし、新システムの開発に加え、データ変換、画像移行、並行稼働、動作確認が必要です。移行を考えるなら、契約前に出力可能なデータを確認してください。
いつSaaSから移行すべきですか?
月額・従量料金が買い切り型の費用を上回る、必要な独自機能を実装できない、手作業の運営が増えた、データ制限が事業成長を妨げるといった段階が見直しの目安です。
感覚ではなく、移行費用を何か月で回収できるか計算して判断します。
まとめ|SaaSは月額ではなく、成功後と解約後まで見て選ぶ
マッチングサイト構築SaaSは、初期費用を抑え、標準機能を使って早くサービスを公開できる方法です。
提供される機能と自社の取引方法が合っており、月額料金や手数料を回収できるなら、無理に独自システムを作る必要はありません。
一方で、独自性がサービスの中心である場合や、長期運用を前提とする場合は注意が必要です。
月額8万円でも5年間で480万円です。売上や取引数に応じた手数料があれば、支払いはさらに増えます。
また、解約時にどのデータを持ち出せるかを確認していなければ、別システムへ移行したくても動けません。
SaaSで失敗しないために必要なのは、最初に安く始めることではなく、いつ移行するかを契約前に決めることです。
マレントでは、事業内容や予算を確認したうえで、SaaSで十分なケース、パッケージが向いているケース、スクラッチ開発が必要なケースを分けてご案内しています。
標準機能でどこまで実現できるか、3年間の総額はいくらになるか、将来の作り直しを避けられるかまで整理したうえで、構築方法をご検討ください。
