この記事は 2024.11.30 に最新記事として更新されています。
内容は出し尽くしたと思います。
おそらく少し理解し難い部分も出てくるかと思いますが、ゆっくり見ていただければ理解できると思います。
参考になれば幸いです。
最近、無料で簡単にネットショップが始められるECカートサービスが増えています。一見すると魅力的なこのサービスですが、実は見えないリスクが潜んでいるのです。
0円ECサービスの登場、ECサイト制作の単価の低下
最近では0円無料でECサイトが始めれるサービスをよく見かけるようになり、個人商店でもネットショップ開設が簡単になりました。
昔はよくネットショップやりたいんだけどってなると、EC-CUBEなど使ってデザイン当てて完成みたいな流れでだいたい30-50万円程の単価でした。制作会社になると100万円ほどからになるので、ECサイトはそこそこいい案件だったのですが、最近では0円開設サービスがあるので、これでいいじゃんとそちら側に行ってしまうのですね。
昔に比べてEC需要が高まりすぎている
懐かしいのが、昔安くて使えるしっかりしたショップ制作はGMO社が提供するMakeshopくらいしかありませんでした。
他社にも色々類似サービスはありましたが、機能数や大手ブランドなどあらゆる面でMakeshopが一番だったと思います。
当時の価格でなんと最初に1万円を払えば月額は0円という究極のプランがありました。
大変商売人としては助かりますね。
しかし、年々ECサイトの需要は新型ウイルスのコロナ期前後でヒートアップしました。
Makeshopでもビジネスプランで約3000円、プレミアムが1万円程となっていましたが、いまではもう0円プランとビジネスプランはありません。
プレミアムの1万円からしか提供していません。
値上げやサービス提供の範囲からみて、リソースの問題もあるのでしょうが、ECサイトの需要はかなり高まっていると考えます。
0円から始めれるに食いついた先にある落とし穴とは…
しかし、無料ほど高いものはないとよく言います。
この0円ではじめれるECサイトの問題はチャージバックにあります。
チャージバックとは不正決済があった際に、決済を戻しなさい(戻します)という命令みたいなものです。
これの割合がすごく多いので問題となっています。
チャージバックは突然に…
「無料ほど高いものはない」とはよく言ったもの。0円で始められるサービスの裏には、チャージバック問題という深刻なリスクがあります。
チャージバックとは、不正決済や購入者の都合で決済を取り消され、店舗側が損失を被る仕組みのこと。この問題が、無料ECサービスでは特に顕著なのです。
チャージバックが起こる主なケース:
商品のクレーム:偽物、破損、購入者の不満などで返金を求めるケース。
不正利用:他人のカードを勝手に使うケース。
悪質なクレーマー:正当な購入後、理不尽な理由で返金を求めるケース。
通常お店側がお客様の都合で決済を取り消すこと、つまり『決済取り消し』は両者納得しているといえます。
しかし、チャージバックはお店に決済代行会社からある日突然に通達されます。
その内容は、お客様のお取引で不正カード利用があったのでこの取引は無効とさせていただきます。
従いましてチャージバックとしてお取引金額を引かせていただきます、と。
(通常の決済会社であれば、来月の売り上げ分から引かせていただきます、となります)
お店からするとすでに商品が渡ってしまっているケースがほとんどで
お店は大損を被ってしまいます。
挙げ句の果てに、決済代行会社のいい分は
いや、カードブランド(VISAやMasterなど)がそう言っちゃってるし、確定しているからどうしようもない
というのがお決まりの流れです。
チャージバックはなぜ起こるのか
チャージバックが起こるケースとしては、主に下記のように消費者が決済会社、カード提供会社に主張した場合起こります。
・商品に不満に思った消費者が取り消しを強く求めたケース
→ 商品を返さずにチャージバックを申請する悪質なケースもあります
→ 届いた物が偽物だった、不備があったなどもこれらにあたります
・第三者が勝手にカード利用を本当にしたケース
・消費者側が、商品が届いていて何も問題がないのに、ただただイチャモンをつけて返金を求めているケース
→ 最終はカード会社の審判によりますが、稀に決済会社の段階で嘘か本当かはどっちでもよくて購入者保護の観点からチャージバック扱いにしておくというケースもあります
店舗系の決済は不正決済にはならない
では、飲食店やショッピング街で決済した時の決済も不正決済になる可能性があるのではないかと思われますが、
店舗系の決済というのはほぼ必ず暗証番号を入力させられます。
この暗証番号をいれるということは本人しか知り得ないので不正決済ではないという判断になりチャージバックの申請はほぼ不可能で通りません。
『(機械をサッ)こちらに暗証番号をお願いします〜』
よくお店でやるあれですね。
大手であれば、決済完了前に通販であっても暗証番号をいれさせる場合もあります。
3Dセキュア(クレジットカード本人認証サービス)といいます。
ただしくは、カード利用者がかけているので、3Dセキュアをかけていない利用者はこれが表示されません。
もちろんこれも費用がかかっていますが、悪質なケースのための防止策です。
もちろんわざと3Dセキュアをかけずに一旦セキュアを外してチャージバック申請(イチャモン)をつけるということもできなくはないですが…
0円ECサービスの言い分(訳)
そこで、0円ではじめれるECサイトでは不正決済保険サービスなるもの(外部の保険会社の商品)を取り扱い開始しました。
つまり、無料では始めれるがなんかあったら自己責任です。
安全にやりたければ保険かけて有料でやってね?という具合です。
この問題に対して、無料サービス側は「不正決済保険」をオプションで提供しています。ただし、これは有料。つまり、無料で始める代わりにリスクは自己責任というスタンスです。
実際にチャージバックが発生すると、店舗は大損害を受けるだけでなく、トラブル解決のために多大な労力を費やすことになります。
実際のチャージバックトラブルがあった時の流れ
実際に実例でみてみましょう。
商品をすでに販売した後のことです。
仮に10万円分の商品が売れて、購入者から早く送ってほしいと言われて、言われた通りに早く送ってしまったとします。
そして、数日後に届いたメールが下記の通りです。
この度、運営されているショップ( 〇〇 )にて、
クレジットカード会社からの連携により悪用確定の注文があるとの連絡がありました。
注文情報は下記の通りとなっております。
注文ID :XXXXXXXXXXX
上記の注文に関しましては、クレジットカードを不正に利用した注文となります。
そのため、商品発送している場合は配送業者へ連絡し、至急配送停止を依頼していただけますでしょうか。
配送停止可否について、【20XX/XX/XX】までにご回答をいただきますようお願い申し上げます。
また、悪用確定のため本注文をキャンセルとし、弊社へ商品代金の返還が発生いたします。
振込可能残高へ注文金額分がある場合は、自動で返還処理が完了します。
このたびは該当の注文をキャンセルとし、振込申請もキャンセルとさせていただきました。
お手数おかけいたしますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
この時点で商品をすでに発送済みの場合は、もう取り返しはつきません。
こちらですが、すでに配送完了してしまっており相手方に届いております。
電話とメールの両方がとどいており早急に配送をしてほしいとの旨から配送はすでにしてしまっております。
このように返答したとします。
重ねてのご案内となりますが、悪用確定のため本注文は既にキャンセルとなっております。
そのため、振込申請もキャンセルとなり、売上は振り込まれません。
クレジットカード会社には配送停止不可とご回答させていただきます。
誠に恐縮ではございますが、この度の被害につきましては警察への相談をご検討ください。
以上、どうぞよろしくお願いいたします。
サービス提供側は知らん、なんか不満なら警察に相談しろということですね。
ここですでに売上金がお店側に振り込まれていた場合は、下記のような返答がきます。
大変恐れ入りますが、このたびはクレジットカードが不正に利用された状況でございます。
そのため、クレジットカード会社からの連絡に基づき、注文はキャンセルとなります。
また、利用規約でもご案内しておりますとおり、注文が無効となった場合には、
売上を弊社にご返金いただいております。
この内容で商品を発送してしまったお店さんは納得して
サービス側に返金をするのか疑問が残ります。
そして、極め付けは利用規約で縛っているのでその義務がある
嫌ならサービスを使うなということで締めくくっています。
重ねてのご案内となりますが、利用規約でもご案内しておりますとおり、
注文が無効となった場合には、売上を弊社にご返金いただいております。
そのため、弊社では「不正決済保証サービス」などをご提供させていただいており、
今後のご利用においてご検討いただければ幸いでございます。
このたびはお力添えができず、誠に申し訳ございません。
何卒ご理解の程をよろしくお願いいたします。
この保険も数プランあるようで、それに応じて保証金額が分かれています。
無料で使えるけど、保険いれとかないとチャージバックが取られるなんて書いたらそれこそ困りますから、そんなところ絶対にサービス側としては推したくないでしょう。
要約すると、
・不正決済があったら配送はするな
・不正決済があったらすでにサービスがお店に売上金を払っていてもサービスに損金を補填返金しろ
・不満なら警察に相談しろ
・上記が嫌なら使うな
・サービスを使って被った不利益は自己責任
となります。
たとえば、1万円のものが売れたとして
チャージバックがきて、それを取り返すために警察に相談してもおそらく犯人を突き詰めるところから始まります。
(弁護士の先生に突き詰めてもらえるかもしれませんが必ずしもたどり着くとは限りません)
そして犯人が分かったとして民事裁判をしてその1万円をとりかえせるかというと費用倒れになる可能性の方が高いです。
仮に30万円や50万円の商品を決済でさせたとしても
弁護士や裁判やらの時間や労力を使ってでも最終的には取り返せるかどうかは分かりません。
この確率は、通常の決済代行会社はファスト決済を提供する会社に比べてはチャージバック判定は比較的少ないと言えます。
しかし、0円ECサービスを使わせている会社は、またはプラットフォームを提供するサービス側としてはどうしても購入者側を優先する傾向にあり、チャージバックかグレーかどうかわからないけどとりあえずチャージバック判定にしておこうとなりやすいのが現状です。
利用前に知っておくべきこと
0円ECサービスの利便性は確かに魅力的ですが、高額商品の販売や不正決済のリスクを考えると慎重な判断が求められます。
特に、以下のポイントを確認することが重要です:
・チャージバック対策は万全か?
・保険の内容や費用はどの程度か?
・サポート体制や規約に不備はないか?
0円ECサービスのコンセプトは分かりやすく、無料ではじめれるので良いと思います。
しかし、デメリットもあるという点がかなり大きく、商品が高額なものは使わない方が無難と思われます。
0円ECサービス利用前にかならず、チャージバックの体制はどうなっているかを問い合わせてから判断した方が良いかと思います。
参考になれば幸いです。