「開発」と「構築」の違いを深掘り
「開発」とは?
「開発」という言葉は、新しいものを作り上げるという意味合いが強いです。何か新しい技術や仕組みを生み出し、それを実際に活用できる状態にすることを指します。システム開発では、まだ存在しないシステムやプログラムを一から設計して実装することが含まれます。
具体例としては:
・新商品を開発する
市場にない新しい商品をゼロから作り上げること。
・従業員の能力開発
既存のスキルを強化し、新たな能力を習得させるプロセス。
システム開発では、新たなシステムを作ることが目的となり、その過程でユーザーが求める新機能や改善された業務プロセスが組み込まれていきます。
「構築」とは?
一方で「構築」は、既にある素材を組み立てて形にするという意味合いが強いです。すでに存在するものを土台にして、システムや構造を作り上げる作業を指します。システム構築では、すでにある程度開発されたソフトウェアや技術を基に、実際に運用できる形に組み立てていきます。
具体例としては:
・パッケージをベースに希望機能の差分をカスタマイズ実装して構築する
既存のパッケージシステムをベースに付け加えたい機能を実装して完成させる
・既存システムの改修
すでに構築されているシステムに対して、一部の機能や複数箇所に希望する仕様を実装する
システム構築においては、開発されたシステムを運用可能な状態にすることが重要で、そのために必要なインフラや設定、運用体制を整える作業が含まれます。
「開発」か「構築」どちらで制作すればいいか?
システム開発として最安で進めたい場合、パッケージ製品などをベースに「構築」し、不足分を「開発」するハイブリッドな開発方法が効果的です。
このパッケージの機能と不足している部分を照らし合わせて洗い出す作業を、Fit&Gap(フィット&ギャップ)といいます。
コストとオリジナル開発が抑えられるので、よく開発現場でも使われる手法です。
システム開発とシステム構築の違い
システム開発とシステム構築は密接に関わっているものの、それぞれ異なるプロセスです。開発が新たなシステムを「作り出す」プロセスであるのに対し、構築はそのシステムを「実際に使える形にする」プロセスです。
システム開発
システム開発は、システムやソフトウェアの設計、実装、テストまでの全過程を含みます。この段階では、システムがどのような機能を持ち、どのように動作するかを定義し、実際にプログラムを作成します。
例えば、従業員の労務管理をシステム化する場合、そのシステムを新たに開発するために、要件定義や基本設計、詳細設計を行い、プログラミングによって新しい機能を実現します。
システム構築
システム構築は、開発されたシステムを実際に運用できる形にする作業です。システムが開発された後、インフラの設計や設定、運用の準備を行い、最終的にシステムが実際の業務で使える状態に仕上げます。このプロセスには、データベースの設定や、既存システムとの統合、サーバーの設定などが含まれます。
先ほどの例で言うと、労務管理システムが完成した後、そのシステムを実際に利用する社員が問題なく操作できるようにするための作業がシステム構築に該当します。
システム開発・構築の主な工程
システム開発と構築の工程は次のように分かれます。ここでは、開発と構築が並行して行われることが多い点にも注目しましょう。
1. 要件定義:
どのようなシステムが必要かを定義し、求められる機能や業務要件を明確にします。
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2. 基本設計:
システムの大まかな設計を行い、システムの構成やユーザーインターフェース(UI)を決定します。
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3. 詳細設計:
実際にプログラミングを行うための詳細な設計を行います。
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4. 開発:
プログラムコードを作成し、システムを実装します。ここで初めて新しいシステムが形になります。
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5. テスト:
開発したシステムが正しく動作するかを検証します。バグや不具合を発見し、修正します。
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6. リリース:
システムを本番環境に移行し、利用者が実際に使えるようにします。
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7. 運用・保守:
システムを安定的に運用するための監視やメンテナンスを行います。
この流れの中で、開発と構築は並行して進むことが多いです。例えば、開発が進むと同時に構築の準備も進めていくことがあります。
開発方法の選択肢:4つの手法
システム開発や構築にはさまざまな開発手法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。以下の4つの手法を理解しておくことが重要です。
ウォーターフォール開発
業界でよく使われる開発方法です。
開発前にすべての仕様を決めるため、あらかじめ見積もりの総額がわかることが多いです。
一連のプロセスを順番に進める方法で、確実にステップを踏みながら進行するため、計画通りに進めやすい。
デメリット:
途中からの仕様変更が困難で、長期的なプロジェクトに向いていますが、途中での柔軟性に欠ける場合があります。
アジャイル開発
社内エンジニアがいたり、SESでエンジニアを派遣できる経済的体力がある会社に、よく用いられる開発方法です。
あとで仕様が変更になる可能性がある場合はメリットになります。
短い開発サイクル(スプリント)で機能を追加しながら開発していく方法で、柔軟に変更に対応できます。
デメリット:
スケジュールやコストの予測が難しく、進捗管理が煩雑になる可能性があります。
また、長期化しやすいことが難点として考えられます。
プロトタイプ開発
初期段階でプロトタイプ(試作システム)を作成し、ユーザーからのフィードバックを基に改善していく方法です。
デメリット:
プロトタイプに頼りすぎると、本番システムとのギャップが生まれる可能性があります。
スパイラル開発
開発を段階的に進め、重要な機能から開発を進める方法で、リスクを管理しながら機能ごとにテストと改善を繰り返します。
デメリット:
緻密な計画なしに進行するため、全体の進捗が見えづらくなることがあります。
結論
システム開発は新しい機能やシステムを「創り出す」作業であり、システム構築はそのシステムを「実際に使える形に組み立てる」作業です。システム開発の後、構築が行われることで、システムが現場で使用できるようになります。
その過程で適切な開発手法を選ぶこと、開発と構築のバランスを取りながら進行することが重要です。株式会社マレントでは、高品質なシステム開発と構築を通じて、クライアントの課題解決をサポートしています。システム開発・構築についてのご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。